耳について
中耳炎
中耳炎は鼓膜の奥の「中耳」という部分に炎症が起きる病気で、大きくは以下の4つに分けられます。
1.急性中耳炎
子供に発症しやすく、ほとんどは風邪を引いた後におこります。
ウイルスや細菌が中耳に入り、炎症を起こします。
症状としては、耳が痛い、発熱、耳だれ、耳が詰まった感じになる、聞こえが悪くなる、機嫌が悪くなるなどがあり、特に3歳以下のお子様は発症率が高いと言われています。
放置すると長引くことがありますので、早めの治療が肝心です。
2.慢性中耳炎
急性中耳炎で鼓膜に穴があいた後、ほとんどは自然に閉じます。中には穴が閉じずに慢性化することがあり、聞こえが悪くなったり、耳だれが続くことになります。耳だれがあるときは通院治療が必要ですが、完全に治すには手術しかありません。
3.滲出性中耳炎
急性中耳炎が落ち着いた後や、鼻炎などでよく鼻をすするとなりやすいです。
中耳に水がたまり、耳が詰まった感じ、聞こえが悪くなる、呼んでも返事をしなくなるなどの症状があります。通院治療で治ることが多いですが、治りが悪いときは鼓膜に換気チューブを入れる手術をすることもあります。
4.真珠腫性中耳炎
「真珠腫」はがんのようなできものではありません。中耳に真珠腫という垢のかたまりができて、周りの骨を溶かして進行する中耳炎です。
多くは滲出性中耳炎が進行して起こります。進行すると聞こえが悪くなる、耳が痛い、耳だれ、めまい、顔面神経麻痺、頭痛などの症状が出てきます。
原則として早めの手術が必要です。また、生まれつき真珠腫をもっている方もおられますが、この場合は自然に消えることもありますので、経過をみた上で手術が必要かどうかの判断になります。
耳鳴り
一般に、難聴とともに出現することが多いとされています。
耳鳴りは本人にしか聞こえない「自覚的耳鳴り」と、外部から聴取できる「他覚的耳鳴り」に分類されます。
この症状は、軽い不快感から、不眠、ときにうつ状態など、様々なストレスの原因になります。
また、急に生じた耳鳴りは「突発性難聴」や「メニエール病」の自覚症状でもありますので、気になる方は早めに一度、受診をおすすめします。
めまい
内耳性めまい
耳の聞こえや平衡感覚をつかさどる内耳(前庭・三半規管)の障害によるめまいです。
良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴、真珠腫性中耳炎などがあります。
症状の傾向として、回転性のめまいで強く感じ、長さは短く、吐き気や耳鳴りを伴う場合が多いです。難聴を伴うこともあります。
中枢性めまい
身体のバランスの情報を処理する小脳・脳幹に原因となり起こるめまいです。
椎骨脳底動脈循環不全、脳出血、脳腫瘍などがあります。
症状の傾向として、めまいは軽く、長く続くことが多いです。また、意識障害や手足のしびれ、頭痛をを伴う場合がありますので、その際はすぐに医療機関を受診してください。
また、中枢性めまいでも内耳性のものとほとんど同じような症状のこともありますので、自分で判断しないようにしましょう。
難聴
耳が聞こえにくくなることです。
難聴には、中耳や外耳が正常に機能しなくなることが原因の「伝音難聴」、
内耳や聴覚神経に障害の原因である「感音難聴」、この2つの難聴の両方の原因が重なっておこる「混合難聴」の3種類があります。
また、急に聞こえが悪くなった場合は「突発性難聴」「メニエール病」の疑いがあります。
「突発性難聴」は発症してから1週間以内には治療を開始した方が良く、治療が遅れると治るものが治らなくなることがありますので、お早めに受診をおすすめします。
顔面神経麻痺
ある日突然に顔の半分が動きにくくなる病気です。
ヘルペスウィルスや水ぼうそうのウィルス、ストレスが原因であることが多く、ウィルスが原因の場合は皮膚が赤くなったりただれたりすることもあります。稀に脳梗塞や脳腫瘍が原因であることもありますので、早めに受診してください。
早めの診断・治療が肝心ですが、元の状態に戻るには数ヶ月かかることもあります。